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June 18, 2005

近代能楽集

「近代能楽集」を彩の国さいたま劇場で見てきました〜!
 
この作品は1976年に初演され、そのあと海外でも何度も上演されており、日本でも2000年、2001年に再演されている名舞台です。
 
原作は三島由紀夫。演出家は世界の蜷川幸雄。
明らかに、重い、おもーーーい舞台になること間違いなし。
はっきり言って私の趣味とはちょっと違う舞台だったのですが、興味があったので行ってみました。
 
三島由紀夫の「近代能楽集」というのは8編から成る戯曲集で、今回は(というか蜷川の近代能楽集では)その中の「卒塔婆小町」「弱法師(よろぼし)」の2曲を上演しています。
「卒塔婆小町」の出演者は譲晴彦、高橋洋、他。
「弱法師」は藤原竜也、夏木マリ、他。
 
 
 
 


ネタばれです。

まず全体として、戯曲「近代能楽集」を忠実に再現していると感じました。
三島の戯曲は結構細かくト書きが書いてあり、私はそれを元にイメージを膨らませていたのですが、蜷川の舞台はほとんどイメージどおりの舞台でした。
いい意味でも悪い意味でも、期待を裏切らない舞台と言えます。

まずは「卒塔婆小町」。
譲晴彦演じる99歳の乞食の老婆と高橋洋演じる詩人の青年との話なんですが、幕が上がり、照明が点く前から「???」
ボタッ、ボタッ・・。
いや、クアン、クアン・・・。かな?
何かが打ち付けられる音がします。
照明が点くと、そこは椿に覆われた公園。
上から椿が降ってきていました。
上から物が降ってくる=蜷川幸雄。
この図式は成り立つんだなぁ、なんて思ってみてたのですが、
これ、最後までずぅっと降り続いていて、結構耳障りでした。残念。
でも、最後の詩人の死ぬところには一面椿に覆われていてキレイだったなぁ〜。

そして、女形の譲晴彦。
うーー・・・ん。怖い。
乞食の時は激しく怖い。そして、臭そう(笑)。
回想シーンで20歳頃の娘を演じるのですが、・・・思っていたより美人に見えない(涙)。
ワルツを踊る時にすぅううぅっと背筋が伸びていったときにはゾクッとして、その軽やかな踊りに目を奪われたのですが、声が・・。
「まぁ、なんてきれいな声」
と言われるわりにはダミ声っす。
笑うところじゃないんだろうけど、笑いたかったぁ。
でも、最後にはなんとか美人に見えてきて、あのセリフを言われるのも納得。
譲さんの演技には満足でしたが、もっときれいな人でもよかったかなぁ。
でも、これだけ汚い人(失礼!)でないと「言わないで頂戴!」という痛々しいセリフは生きなかったのかもしれません。

そして、高橋洋。
この人は蜷川カンパニー所属の役者さんで、私が初めて見たのは萩原聖人の代役で出た「真情あふるる軽薄さ2001」です。
この時から、おぉ、蜷川にはいい役者がいるなぁなんて思っていたのですが、気づいたらさらにいい役者さんになってました。
詩人の線の細さ、段々と小町に惹かれていく様子を見事に演じられてました。
まだまだ、やっぱり、なんだか、印象が薄いような気がするところは変わらないのですが・・・(汗)。
ソツなく演じてるって感じです。
役者さんって、上手い下手も重要ですが、印象を残すってこともすごい重要なことですよね。
もうちょっとがんばって欲しい役者さんです。

そして「弱法師」。
これは戦争中に目を焼かれて両親と離れ離れになった青年(藤原)の親権問題を家庭裁判所で争う話です。
調停員が夏木マリ。

待ちに待った藤原竜也です!
いや、藤原のファンではないのですが、蜷川演出「身毒丸」で才能を見出された藤原がどれだけの演技を発揮するのか見てみたかったんです。
以前私が藤原を舞台で見たのは野田秀樹の「オイル」。
新感線の橋本じゅんとコンビ役だったんですが、はっきり言って橋本じゅんの勝ち!
藤原を生かすにはやっぱり蜷川なんだろうなぁ〜、って思っていたので、今回その念願が叶いました!

で、実際に見た感想ですが、いい!!!!!
すごい!の一言に尽きます。
まずは、夏木マリに「お連れしましょう」と言われて登場する時。
夏木マリが手で示す方向(客席の下手奥)を見るとそこに藤原竜也が!
ステッキをつきながら、一段一段下りてくる様子に客席は固唾を呑んで見守っていました。
すごい存在感、圧倒的なオーラが感じられます。

狂気じみたセリフもゾッとくるほど濃艶で、声が高かったり、低かったり、いやいや役者だなぁ〜、と思わざるを得ません。
そして、最大の見せ場!
戦争シーンの独白。
赤い炎の照明をバックに、延々と語ります。
段々と白熱していき、スーツの背広、ネクタイ、最後にシャツも取り、最後には上半身裸で、まさに熱演!
汗が飛び散ります!
すっげぇー。
というのが正直な感想です。

それを見守る夏木マリもまた、頭の良い色気漂う女を演じていました。
凛とした声、藤原を見つめる目線。
いやー、たまらん。

話の内容としては、戯曲を読んでるだけで満足だよ!というレベルだったのですが、個々の役者さんの熱演が見られたので良かった〜という感じでした。

最後にはスタンディングオベーションまで起こっていました。
ヤフオクで定価割れしていたチケットをゲットして行ったのですが、その値段としてはかなり満足です。


emy0824 at 22:06│Comments(4)TrackBack(0)演劇 

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この記事へのコメント

4. Posted by えみ   June 21, 2005 00:35
>*楓*さん
お越しいただきありがとうございます。
スタンディングオベーションのときは実は中腰になりそうでした(笑)。
立とうかどうしようかかなり迷ってしまい、中途半端なことをするなら立ってしまえばよかったと、ちょっと後悔です。

>イワナ
ヤフオクで2階席とかなら3000円まで下がってたよー。
こまめに見てると掘り出し物とかあるので、お勧めです。

>shusu_no_kutsu
そうですね、私もそう思います。
舞台の役者さんは、舞台に出てこそいい味が出ますよね。
3. Posted by shusu_no_kutsu   June 20, 2005 03:09
TBありがとうございます。
私は、「身毒丸」で初めてたっちゃんを見たので、
舞台の役者さんという印象が強く、
彼のテレビとかは、あまり見てません。
舞台を見てこその役者さんだと思います。
2. Posted by イワナ   June 20, 2005 00:52
いいなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
すっごく行きたかったわけです。
そりゃもう行きたくて、本買って台詞覚えたくらい。
でもね、今収入が安定していないので諦めたわけです。
秋の天保に掛けようと思って。
でもやっぱいきゃよかったぁ!!!!
1. Posted by *楓*   June 20, 2005 00:21
こんばんは。遊びに来ました。
蜷川さん上から落とすの好きですよね。
あと、俳優さんをゆっくり動かすのも。

洋さんの「真情あふるる軽薄さ2001」をご覧になったのですね。
「ハムレット」以降に好きになったので、うらやましいです。

「オイル」も観ました。確かに橋本じゅんさんはすごかったですよね。

今日は弱法師では観客総立ちだったような気がします。

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