June 17, 2006
俺たちは志士じゃない at サンシャイン劇場
演劇集団キャラメルボックス公演
「俺たちは志士じゃない」
を見てきました。
ブロガー予約と言うことで、この記事をアップすることを条件に無料で見せて頂きました。
しかも終演後には演出家マキノノゾミさんとのお話会をさせてもらって、いやいや、無料で見せてもらったのにそんなことまでできて、すごい企画です。
さすがキャラメル。
いや、さすが加藤昌史。
そんなわけで今回の公演。
演出はマキノノゾミ。
M.O.P.の作演出家ですが、私はMOPを見たことがない。
東京原子核クラブ、HAPPY MANの作演出。
最近では外部作品で、 おはつ、浪人街の作とかが有名。
名前はよく知っているし、作品も知ってるけど実はどれも見たことがなかった。
どんななんだろう、マキノノゾミ。
って感じで見てきましたが、なるほど。
キャラメルの熱い芝居もこの人にかかるとやんわり風になるんですねー。
今回は俺志士のリメイク版ということで、なんと舞台転換なし。
大幅に脚本を変えて、松、竹の二人が家にやってきて去るまでの話だった。
舞台転換なし、一幕物というとどうしても三谷幸喜が浮かぶ。
次から次へと状況が悪化していって、そこで人間がどのように面白い行動にでるかというのを描いているんだけど、あれ?
俺志士ってそんな話だっけ?
パンフにも書いてあったし、後での話し会でも言っていたが、マキノさんはこの話が”ヒーローに間違えられたお馬鹿な二人の話”だと言う。
が、私には”志のない人間がヒーローに間違えられたことによって志を持つようになる話”だと思っていた。
そんなにコミカルな話じゃないのに、一場面ものってどうなんだろうって思ってしまいました。
演出家の考え方が違うともちろん芝居も違う。
全体的にほんわか雰囲気。
役者がこれでもか!っていうほど叫んでいない。
無理なギャグもない。
これがキャラメルの役者か?って思うほどみんな自然な演技。
特に温井の演技には目を見張るものがある。
こんなに雰囲気で感情を伝えることができる子だったっけ?
凛としてそれでいて切なくて、かっこいいおなごを演じてました。
そうそう、ゲストの皆さんもすごかった。
主役の松役、文学座の浅野雅弘。
どことなく雰囲気が近江谷さん風。
お馬鹿でかわいくて、素朴な演技がべらぼうに上手い。
天王寺役の青年座、大屋仁志。
佐々木蔵之介には及ばないけど、ちょっとおちゃめで厳格な殿様がよかった。
ああいう厳しい雰囲気を出せる役者ってキャラメルにはいないよなぁ。
そんなわけで役者たちの演技はすごくよかったし、普段のキャラメルよりもこっちの方が好きなんだけど、全体の演出としてはどうかな。
最後に話をして思ったんだけど、やっぱりマキノさんはエンターテイメント的な演出をするよりも、普段日常で感じる人と人との繋がりとか組み合わせのお馬鹿さを見せたい人。
そういうことを見せるには俺志士ではちょっと人間関係が希薄ぎみだし、この作品ではエンターテイメント要素が欠けるとだらだら行っちゃう感じがする。
現に最後のクライマックスの場面では、緊張感よりもコミカルさを強調していて、あぁ、こういう演出もありか、と思ったけど、やっぱり何か違うなぁ。
キャラメルボックスに何を求めているかによっても評価が分かれそうなところだけど、私の求めていたものとマキノさんは違うらしい。
また、作品を一場面物にしてしまったことにより、なんだかさらに面白みがなくなったような・・。
もともと成井、真柴の二人はこういうものを書くのになれていないこともあると思うんだけど、うーん、いまいち。
長くなってしまった。
そんなわけで、マキノ版俺志士でした。
たまにはこんなキャラメルもありですね〜。
↓座談会詳細
集まったのは30人ぐらい。
加藤さん司会で始まりました。
時間の関係もあって質問は6個ほど。
ちなみに一番初めに質問したのは私です。
クライマックスのコミカルさについて質問しました。
成井テイストとは違うものを出そうと思ったそうで、確かに出てた(笑)
後は苦労した点とか。
一生懸命演技の役者を直すのが大変だったそうで。
マキノよくやった!って褒めたいぐらい。
外から見た時と内から見たときのキャラメルの違い。
客演はどうやって決めたのか。
関西公演に向けて一言。
演技指導。
などでした。
特に演技については、あぁ、この人演出家だったよって思い出した(笑)
こういう人に演技指導してもらえるといいなぁって思いました。
楽しい人柄が舞台にもそのまま表れていて、人間が好きなんだっていうのがよく分かりました。
こういう人好きだなぁ。
またこういう企画があればぜひ参加したいです。