大人計画「母を逃がす」(本多劇場)演劇集団キャラメルボックス「サンタクロースが歌ってくれた」(サンシャイン劇場)

December 19, 2010

KERA+シアターコクーンプロデュース第5弾 「黴菌」(シアターコクーン)5

ケラさん昭和3部作の2作目。

昨年の1作目「東京月光魔曲」に引き続き、観劇してきました〜。



戦時中〜後の家族、及びその周りの人々の人間模様を描いた作品。

戦争により失ったもの、そして得られたもの。



1作目はイマイチな感想でしたが、今回のはおもしろかった!!!

ケラさんにしてはかなり分かりやすいストーリー。

そして豪華絢爛な役者陣。

誰が出てきてもおぉ!となり、惹きこまれる。

その一人一人にスポットライトを当てて、其々の葛藤を絡ませながら見せていく手腕はさすがとしか言いようがありません。

どうまとまるのか不安でしたが、それぞれの物語が終息に向かっていくのは圧巻の一言。



演出はナイロンの役者が少ないのもあって、ナイロンよりはオーソドックスな印象。

いつもの「あれ」はたっぷりありますが(笑)



役者陣は、ほんとにどの人もいいですよね〜。

特筆するとすると、中村トオルが意表をついてコミカルな役でおもしろかったです。

高橋惠子はさすがの貫録。表情もすばらしかったです。



来年の3作目も楽しみです。


【上演時間】
1幕 1時間35分

( 休憩 15分 )

2幕 1時間33分

合計 3時間23分





作・演出

ケラリーノ・サンドロヴィッチ








出 演


北村一輝、仲村トオル、ともさかりえ、岡田義徳、犬山イヌコ、

みのすけ、小松和重、池谷のぶえ、長谷川博己、緒川たまき、

山崎 一、高橋惠子、生瀬勝久





公演日程

    2010年12月4日(土)〜26日(日)
特設S¥9,500 S¥9,500 A¥7,500 コクーンシート¥5,000 (税込)

↓ネタばれ


HPより抜粋。

北村一輝
五斜池京・・・五斜池家の四男。男娼。複数の男女と関係をもつ遊び人。日本舞踊の名取り(え?そうだったの?)。

仲村トオル
渋澤洋平・・・オトの兄。藤吉郎が経営する工場の工員。人を疑うことを知らぬ実直な男。作業中の事故が原因で足が不自由。

ともさかりえ
佐野雪絵・・・銀一郎に助けられた謎の女(え?そうだったの?)。(多分この設定はなくなって、学校の先生と言われてました。洋平から京に紹介した。)

岡田義徳
調雄吉・・・定夫の采配によって徴兵を忌避した男。藤吉郎から怪しげな薬を飲まされ、医学実験のモルモットにされている。

犬山イヌコ
調園子・・・雄吉の妻。

みのすけ
小林善介・・・軍部の人間。藤吉郎が替え玉をつとめている男の秘書。
合田・・・脳病院の重病患者。藤吉郎から怪しげな薬を飲まされている。
警官

小松和重
別府三郎・・・五斜池家の運転手(え?そうだったの?)。(兼?使用人。)

池谷のぶえ
山本百合・・・五斜池家のメイド。

長谷川博己
五斜池銀一郎・・・藤吉郎の一人息子。

緒川たまき
渋澤オト・・・五斜池家の主、鉄二郎の妾にして看護人。渋澤洋平の妹

山崎 一
五斜池藤吉郎・・・五斜池家の長男。脳病院を営む精神科医。

高橋惠子
斜池フサ・・・藤吉郎の妻。

生瀬勝久
五斜池定夫・・・五斜池家の次男。政府の要人の影武者(替え玉)。数年前に妻と死別した。


覚書。

BlogPaint
とりあえず舞台図(笑)
入りはけいっぱいあります。
上手にはける花道(舞台では玄関方面)があるのが珍しかったかな。
あとケラさんに特有の2階。(ここでは渡り廊下みたいな感じ。)

舞台はここ、五斜池(ごしゃいけ)家で起こることのみ。
昭和20年3月、8月、10月、12月の4シーン。

はじめは、五斜池家に調(しらべ)夫婦が来るところから。
ラジオが流れている。
が、うるさくて会話ができず、ラジオを使用人の別府に止めさせる藤吉郎。
ソファには調夫婦。ソファ右には藤吉郎の妻。左に藤吉郎。
奥のテラス?にオト。
上手奥のテーブルに使用人の山本さん。
山本さんが紅茶を運ぶ。

どうやら藤吉郎の危機を救った縁で、調夫婦は今まで防空壕に住んでいたが、この家に住むことになったらしい。
病気か何かで調は戦争に行かなくて済んだ。
行かなくていいと妻が言い始めたのか、夫が言い始めたのか、お互いをかばい合う調夫婦の仲睦まじい姿が見てとれた。
ちょっと犬山犬子の役が抜けてるのはご愛敬(笑)

ここで急にアメリカに宇宙人が来たというオーソン・ウェルズのラジオ番組の話になる。
山崎一がラジオの語り口調、アナウンサーと真似していく様にぐいぐい惹きこまれてしまった。

後に分かることだが、藤吉郎は脳病院の実験の手伝いをすることを条件に調夫婦を家に住まわせた。
この時は、藤吉郎は雄吉に「今はゆっくりしておいで。そのうち実験を手伝ってくれれば…。」と言っていたが、
既に調雄吉はおなかを壊しており、食事への投薬実験は秘密裏に開始されていた。

藤吉郎は、妻フサに実験を止めるように言われるが、
「なぁに、ただ愛国心がなくなるようなものだよ。
たとえばね。
アメリカのためにとか、アメリカを愛する心をなくすんだ。
そうしたら心を自由に操って、戦争を…。」的なことをぬかす藤吉郎。

もうね、ここで今後の調夫婦が想像つくわけですが…(´;ω;`)
悲しくて悲しくて。・゚・(ノД`)

それから、藤吉郎の弟、定夫。
これがまた生瀬にぴったりの役で(笑)
線香がないー!って出てくるわけですが、どうやら買い置きの線香は4男の京が売り払ってしまったらしい。
闇市で買ってきたらいいじゃないと言われるが、花道で小芝居を始める。

「あ、線香下さい。
私ねー、この線香売ったんですよ。3円で。
これ、いくらですか?30円。はい(と、懐に手。)。」
「おかしいだろー!」
って、1人で小芝居してるのがワロタ(笑)

使用人の別府さんに買いに行けー!と怒鳴りつける。

この後、ずーーーっとコーヒーをお手伝いさんに頼んでるんだけど、砂糖忘れられたり、他の人に飲まれちゃったり、灰皿代わりにされちゃったり、なかなか飲めない(笑)
「俺はただコーヒーを飲みたい男なんだ!」は爆笑させてもらいました(゚∀゚)アヒャヒャ

それから、当主、鉄二郎の愛人、オト。
「お兄ちゃんが学校の先生と結婚するんだ!」とルンルンだったが、いざ兄の洋平が来てみると事態は変わっていた。
五斜池家4男の京とできちゃった結婚することになっていた。
このお兄ちゃんの中村トオルが(笑)
すんごいバカな役で(笑)空気を読めない役で(笑)
笑わせて頂きました(´∀`*)

あと、使用人の別府さん。
彼は元脳病院患者。
ゴンちゃんこと合田さんと仲良し。
合田さんはまだ脳病院にいて、蝉と結婚したいと思っている。

ペスという犬を飼っている。
ペスが骨を掘り起こしたと大騒ぎになり、フサと藤吉郎が見に行く。
と、入れ違いで合田がやってくる。
別府さんに「いいものをやろうか。」と、しゃれこうべを出す。
ここの生き生きしたみのすけがイイ!
やっぱりこの人の演技好きだわ〜。

あれ?1人息子はどう絡んだんだっけ?
出てきて親父の藤吉郎とケンカだったっけ?
「小さい頃はおれの白衣を着て遊んでただろうが〜。」


昭和20年8月
戦後。


学校の先生、雪絵のお腹は大きくなっていた。
使用人の山本さんと話す。
昨日の晩も京の帰りが遅かった。
京曰く、上野公園で戦争孤児に食べ物を恵んでいたら、あっちもこっちも集まってきて大変になってしまい、帰れなかったと。
遊び人風な京からはそんなことは考えられず、下手な嘘だと二人で話す。

合田さんが来る。
「(別府さんに)しゃれこうべ、ちゃんと持ってるかい?」
「頭の中で大砲が鳴ってるんだ。」
「僕はもうだめだ。」
何か食事に投薬されていること、今は何も入ってないこと、的なことを話して去る。
(そういえば、「何も入ってないんじゃないよ。それじゃただの器だからね。食事は入ってるよ。」ってセリフにウケタ(笑))

その後、(電話が来るんだっけ?)合田さんの死亡が分かる。
別府さん出ていく。

調雄吉は既に妻が嫌いになっていたorz
「頭の中で大砲が鳴る。」など合田さんと同じようなことを言う。
妻が「知り合いの島に移ろう」と、知り合いのはがきを雄吉に渡す。
が、破られてしまうorz
うわーん。

京が帰ってくる。
金を貸せといろんな人に聞いて回る。
はじめはフサに。
キスなんかしたりして、キス代としてせびり取る(笑)
結局洋平に借りる。

替え玉をしている大佐?がやってくる。
小林という部下も連れて、2階へ上がり、定夫と話す。
大佐が外に出て行ったあと、定夫が出てくる。(一人二役だからねー。)
どうやら戦争も終わり、お役御免らしい。
雨が降ってきそうだから、と、傘を持たされて出ていく定夫。
外で大佐が待っているらしい。

雨の中。
脳病院の患者を出してやったと雨に濡れた1人息子が入ってくる。
その後、同じようにずぶぬれの藤吉郎が入ってきて、「うわーーーー。」
さらに、定夫も入ってくる。
「俺を殺そうとしやがったから、傘で目をつついてやったー!」


休憩。


昭和20年10月。

車いすに乗った父親がオトに押されて、渡り廊下を渡って去る。
父親は、自分は長くないと悟り、息子たちに土下座して謝ったらしい。
ここに京はいない。

京の小さい頃、3男が死んだ。
理由は長男が脳病院のカギを盗み、次男と3男が遊んで脳病院に入って行き、重病患者に首を絞められたため。
このことを次男の定夫は気に病んでいて、朝昼晩と線香をあげていた。
父親も大変悲しみ、自分の見えるところに3男を埋めたいと、庭の桜の木の下に埋めた。
ペスが掘り起こしたしゃれこうべ(合田さんが持ってたやつ)は、3男のものだ。
それ以来父親と気まずくなり、庭に出ても、うっかり目が合わないように父親の部屋の窓を見ないように下を向いていた次男。

借金があり、父親の持っていた工場は閉鎖。
この家は売り渡す。
兄弟はバラバラになることが決定した。

京と雪絵の子どもは無事に生まれたらしい。
園子と雪絵がソファで、お互いの存在がありがたいと話す。

1人息子と京だっけか?ケンカ。(何でケンカしたんだっけ?)
京に追いかけられて殴られたらしい(笑)
園子が冷やしてあげるから、と台所の方に連れていく。

このへんだっけか?
停電になったらしく、薄暗い室内のまま話は進む。

京と雪絵のシーンだったっけか?
京と3男坊の話。
京が泣いたのは今までで一度だけ。
3男は本当に気が優しかった。
3男が死んだ日の昼間、京が遊んでいた犬がいなくなった。
川の方へボールを投げたら帰ってこなくなってしまった。
3男は犬を探してくれようとした。
京は泣いた。
家に帰って、すぐ寝て、朝起きたら既に3男は死んでいた。
その時は涙が出なかった。
3男が死んだ理由はよく知らないが、長男次男の遊びに巻き込まれて、病棟に入り込み死んだらしい。

さらに悪化が進む調雄吉。
妻のことをなじるなじる。
「私だって、銀一郎さんのほっぺた冷やしたり、役に立ってます!」
オーソン・ウェルズのラジオみたいに嘘だったらいいのにと思う園子。
妻だけを下にさがらせて、雄吉だけ舞台に残る。
その前で泣き始めるフサ。(ここの高橋惠子はさすがでした。)
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
そこへ、藤吉郎もやってくる。
藤吉郎をなじるフサ。
「もうやめてください!何にもならなかったじゃないですか!…何にもならなかったじゃないですか!
ただ、二人の人間を不幸にしただけです!」
雄吉に土下座する藤吉郎。
「悪かった。」
既に投薬もやめているらしい。
あれ?ここどこに繋がるんだっけな…。

だめだ、もう記憶がない〜。
強く印象に残ってるシーンだけ。

別府さん、上手の窓から登場。
驚く山本さん。
乞食をして生きていたらしい。
どうやら京の話は本当で、上野公園で食べ物を恵んでいたそうだ。

替え玉の人が来る。
電話を借りる。
どうやら替え玉の人の妻が死んだらしい。
2階へ上がる。
定夫を殺されるんじゃないかと藤吉郎が追いかける。
山本さん、警察を呼ぶ。

土下座をしている父親を見ていた1人息子。
多少は父親を許す気持ちになったんだろうか?
出てきて、父親の残していった白衣をはおる。
と、ここで藤吉郎に恨みのある別府さん登場。
暗闇だったため、藤吉郎と間違えて息子を刺す。

停電。真っ暗になる。
ガタンガタンと音がする。

停電があけると、階段の下に替え玉の人。
どうやら銃をこめかみに当てて自殺したらしい。

警官来る。
藤吉郎も来る。
息子を見て、「うわーー。」


昭和20年12月

どうやら息子は無事だったらしい。
父親はもう長くなく、入院した。

京は、上野公園での行動が表彰されることに。

兄弟みんなで写真を撮ろうとか、和やかな雰囲気。
もうこの家を手放すから、家を出ないといけない。
定夫「もう俺たち兄弟で会うことも滅多にないだろうな。」

調夫婦も、旦那の調子がちょっとずつ戻ってきたらしい。
結局島へ行くそうだ。

ここで山本さん登場。
「みなさん、いつでも遠慮なくいらしてくださいね。」
客席がどよめきました(笑)
まさか山本さんが家を買ったとは(笑)
フサ曰く、孤児だって言うから拾ったのに、いいとこのお嬢さんが家出してただけなんて。

ここで、3男の話になる。
定夫「あの犬がいけなかったんだよ。あれがいたから患者が興奮しちまって。」
京「え?犬?」
定夫「そうだよ。あいつは犬を追いかけて病棟に入って行ったんだ。」
京「それって、小さい犬か?」
定夫「あぁ、小さくて汚い、こんぐらいの犬だよ。」
京「…なんで教えてくれなかったんだよ。」

ここの北村一輝の演技がピカイチでした。
段々泣き顔になっていって、崩れ落ちる。
そして定夫の腰に抱きつく。

「そうしたらあんたはこんなに苦しまずに済んだのに!」

訳が分からず京の頭をなでる定夫。
「こんな時、なんて言えばいいんだ?」

藤吉郎「泣くな。…泣くな。」
定夫「泣くな!」

今度は藤吉郎にすがって泣き始める京。

藤吉郎、京、定夫の順で並んで座っているんですが、みんな泣き始めちゃって。
男兄弟っていいもんだなって思いました。

定夫「またすぐみんなで会おうな。」(だったかな?そんな感じ。)


こうやって書き出してみると五斜池家以外はやはりいらな(ry。
サブストーリー?として、
洋平は未だに雪絵が好き。
酒を飲んでうとうと寝ているところに毛布をかけてくれたひとを雪絵だと思い込む。
などカワイイエピソードがありました。
それから、改めて雪絵と話すシーン。
雪絵とは1回目にどっかで会って、2回目に会って、3回目に京を紹介した。と。
(3回しか会ってなかったのに、結婚がどうとか言ってたのかー。かわいい兄ちゃんだなあ(笑))

そして、実際は山本さんが毛布をかけていた(笑)
山本さんは洋平が好き。
小説を貸したり、そして何ページの何行目を読んで下さいなどと、告白しようとしたが、
酔っぱらった洋平は何ページか忘れているという(笑)
山本さん、素敵な働きでした(笑)
さすがいいコメディエンヌっぷり。

そういえば、レコードが各所で効果的に使われていました。
BGMっぽい音楽はこれらだけだったかな。


emy0824 at 23:30│Comments(0)TrackBack(0)演劇 

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