February 12, 2011

「金閣寺」(神奈川芸術劇場(KAAT))5

すすすすごいものを見た!!!
歴史的な瞬間に立ち会えた!と言っては大げさすぎるけど、この舞台を見られて本当に良かったです。

三島由紀夫X宮本亜門のこの舞台。
亜門さんの今までの作品はいくつか見てきているけれど、スタンダードなミュージカルを演出する印象が強かったため、三島由紀夫の世界を表すとなるとかなり退屈な舞台になりそうだというのが観る前の感想でした。
それでも観たいと思わせたのは、役者森田剛と高岡蒼甫。
彼らならすごいものを見せてくれるのでは?と期待して観に行きました。

とりあえずネタバレなしでの感想です。

観劇後、期待はすごい方向に裏切られました。
役者はもちろんイイ!!
イイけど、なによりすごかったのは演出です。
蜷川のようで野田のようで、でも全く違う。
これまでミュージカルを多くやってきた亜門ならではの演出でした。

まずはセット。
教室のような壁があるだけで、セットは全て人が創る。
照明で道筋を作ったり、箱を繋げていって階段を作ったり、今までも観たことがある演出だけれど効果音や山川さんのホーミンを上手く繋ぎ合わせてグングン惹きこまれる展開となりました。
ラストの演出がすごいです!!

そして金閣寺の具現化。
まさか象徴する人となるとは!!
始めに見た時は「なんだこの人?」と思ってしまった山川さん(すいませんっ)。
アフタートークでもおっしゃってましたが、演劇畑ではないので演じるということが嫌いで演じることに違和感があるそうです。
確かに役者陣の中では異質の存在に見えて、でもそれが金閣寺鳳凰を際立たせていました。
亜門さんが「金閣寺をやることに決まって、すぐに山川さんに声をかけた。この人がいるからやろうと思った。」とおっしゃてましたが、まさにこの人ありの舞台!
よくぞこの演出を思いついたなーって、さすがです。

そして、この作品のテーマ。
やはりアフタートークで台本の伊藤ちひろさん、亜門さんがおっしゃってましたが、「生きる。」ということを伝えることに重点を置いたそうです。
はっきりと、強く伝わりました。
原作も読んでもっともっと考えたいと思いました。ほんとすごいわー。

そして役者陣も。
森田剛の演技は今回も良かったです。
溝口はドモリで自分に自信がなく下手をすれば魅力がなくなりそうなのに、なぜか彼が演じると繊細で純粋でどこか愛おしい人間になるのには脱帽です。
もっと彼の演技を見てみたい。
高岡さんも、足が不自由で屈折した人間を見事に演じ切っていました。
リチャード三世に続き、こういう役をやらせると上手い!!!

ポストトークでの話。
亜門さん、山川さん、台本の伊藤さん、振付家の小野寺さんが出席。
テーマの話や、山川さんのホーミンの話など興味深かったです。
亜門さんは何百回もこの原作を読み(しかも拡大コピーしたものを持ち歩いてて、ぼろぼろになってるw)、見るたびに新しい発見、新しい感動があると言ってました。
だから今回の舞台は今の「金閣寺」。
何年後かにもしやるとしたら、今とは違う形になるかもしれないそうです。

素晴らしい舞台です。
ぜひいろんな方に見て欲しい。


<2011.2.11 マチネ 2階2列目>

<見かけた芸能人>
小出恵介(かっこよかったー!!)、行定勲(小出さんと話してました。)


あらすじ
日本海のさびれた港町の寺にうまれた溝口は生まれつきの吃音でうまく他人とコミュニケーションをとれず、疎外感に悩まされている。幼いころから父親に金閣 の美しさについて聞かされてきた溝口は金閣に対して信仰に近いまでの憧憬を抱いていく。しかし、父に連れられて初めて見た金閣は溝口の想像とあまりにもか け離れており、溝口を落胆させた。父が死去してからは、鹿苑寺(金閣寺)の徒弟として京都での生活を始める。戦火が日本本土を襲うさなか、溝口は金閣が空 襲の火に焼け滅ぼされるという幻想を抱く。それは金閣の美しさもまた生物と同じく、死に向かう限りある「真の美」なのであると。しかし、京都には空襲もな く戦争は終わった。金閣寺は永遠にそこに立ち続けるかのごとく存在していた...
成長の過程で向き合わされる現実、世俗への嫌悪、絶望の中で、溝口は金閣の幻影に囚われていく。
世界を変えるのは「認識」か「行為」か。青春の葛藤を痛ましいまでに繊細に描く。 (演劇ライフより)

公演日:2011.1.29(土)―2.14(月)

原作/三島由紀夫 原作翻案/セルジュ・ラモット 台本/伊藤ちひろ 
演出/宮本亜門
出演/森田剛、高岡蒼甫、大東俊介、中越典子、高橋長英、岡本麗、花王おさむ、大駱駝艦〈田村一行、湯山大一郎、若羽幸平、橋本まつり、小田直哉、加藤貴宏〉、岡田あがさ、三輪ひとみ、山川冬樹、瑳川哲朗


翻訳/常田景子 音楽/福岡ユタカ 振付/小野寺修二 美術/ボリス・クドゥルチカ 衣裳/前田文子 照明/沢田祐二 音響/山本浩一 映像デザイン/掛川康典 映像プラン/栗山聡之 ヘアメイク/川端富生 舞台監督/藤崎遊

座席券(S席:¥8,500 A席:¥6,500 B席:¥4,500)
立ち見券(立ち見A席:¥6,000 立ち見B席:¥4,000)


↓以下、ネタバレ。


気付いたところだけ、ポイントで感想。

オープニングは、開演時間前から始まっています。
ゆったりと過ごす役者陣。
亜門さんが言ってましたが、「金閣寺をやるんだから、こちらも金閣寺をやるよっていうスタンスで始めたかった。」と。
なので、続々と役者陣が集まってきて、小説を読み始めるところから始まります。

ラストの演出の「世界が壊れる」。
金閣寺を燃やすことを考えて世界が崩壊し始め、金閣寺を燃やすことで世界が崩壊。
教室のようなセットの壁がどんどん壊れていって、床も壊れて袖に消えていく。
最終的には舞台の奥、横、素のままの劇場が出現。
世界が壊れる様子、そしてお芝居から現実にぐぐっと引き戻す効果、素晴らしかった〜。
鳥肌立ちました。

作品のテーマですが、はっきり言って私は映画も見てないし、原作すら読んでません。
だから難しいことは全く分からないのですが、クライマックスに客電がついて高岡さん、大東さんの「生きよう。」と言うセリフに思い切り胸を掴まれて、思わず涙が出そうになりました。
客電が点いてはっと我に返らせることで、客への、自分たちへのメッセージがより明確になった演出だと思います。
そして森田くんが小さく「生きよぅ。」と呟いて舞台から降り、客席に座り、私たちと同じ目線で舞台を見上げる。
アフタートークで台本の伊藤ちひろさん、亜門さんがおっしゃってましたが、「生きる。」ということを伝えることに重点を置いたそうです。
はっきり伝わりましたよーーー!!!

ほんとすごかった。
観に行ってよかった。


emy0824 at 00:09│Comments(0)TrackBack(0)演劇 

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